◆目立つテープを使って農地へのコブハクチョウの侵入を防ぐ[土屋結](2008.02.01)

イギリスではコブハクチョウCygnus olorによるアブラナ農地での冬期採餌によって農業被害が出ている。テープによる防除が多少は有効だが、壊れやすいことや機械作業の邪魔になるなどの問題があった。本研究の目的は改良型テープ防除システムの効果と費用、実用性、テープの耐久性について検討することである。

調査は2002-03年と2003-04年の冬にイングランド東部にある農場12ヶ所で行った。オレンジ色で目立つ強化バリケードテープ(長さ30m)を用い、農地に矢はず模様(斜め交互)になるように木製の柱を立てて高さ60cmにテープを張った。これは農作業を考慮した配置であり、作業車が通るラインをテープがまたがないようにした。調査地12ヶ所のうち8ヶ所(1.8-15.0ha)では農地全体に張り、残り4ヶ所(16.0-20.4ha)では張る区(操作区)と張らない区(非操作区)を半分ずつ配置した。張る前(1~4週間)と張った後(12~14週間)それぞれの期間で調査を行い、約2週間に1度糞と個体数をカウントし、張る前と張った後で比較した。また、同じ時期の自然変化を調べるために近隣の非対策地でも個体数を調査した。

2002-03年と2003-04年の両年とも、平均糞数はテープを張る前と比べて張った後の方が少なくなった(それぞれ-96.8%、-98.6%)。分割した4調査区では、操作区で平均糞数は88.8~98.5%減少し、非操作区では3ヶ所が減少(-74.3~-25.2%)、1ヶ所では増加した(+832.6%)。同様に、平均個体数も両年とも張る前と比べて張った後の方が少なくなっていた(それぞれ-94.3%、-99.2%)。多くの非対策地でも減少していたが、対策地の方が有意に大きく減少した。ひとつのエリアに必要な資材は、作業車用ラインの間隔が狭いほど多くなり、人件費も含めた初期費用は、ライン間が24mで£42/ha(約9,000円)、12mで£71/ha(約15,000円)となった。

資材費は安く、工事費は比較的高いもののその維持費は安いので、この方法は防除効果は高いといえる。しかし、別の調査結果によると、コブハクチョウによるアブラナへの被害金額はそれほど大きくないので、この方法は被害が大きいところにだけ有効なものである。

【土屋コメント:この方法は通路幅が広い方が効果的であるようだから、農地の狭い日本の農業にはあまり向かないかもしれない。】

【藤岡コメント:日本では圃場の規模がはるかに小さいが、本州ではふつう圃場内に「通路」は設けないので、テープを圃場全体に張ることにはそれほど問題はないと思われる。しかし、そんな対策が必要になるほどコブハクチョウが増えないようにするのが先決だろう。】

元の文献

Parrott, D;Watala, G (in press) Deterring mute swans from fields of oilseed rape using suspended high visibility tape. Crop Protection (2007), doi:10.1016/j.cropro.2007.09.006 (available online 25 Oct. 2007) [#21189]

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◆アメリカで野生化しているコブハクチョウは長時間採餌する[土屋結](2008.01.28)

アメリカで侵略的外来種とされているコブハクチョウは大型の植物食者で、しかも周年同じ地域に生息しているため、沈水植物への悪影響が懸念されている。そこで本研究では、時間帯および季節間、また、繁殖ペアと非繁殖個体や群れサイズによって採餌に費やす時間が違うかどうかを明らかにすることを目的とした。また、コブハクチョウは非常に攻撃的なので、種内・種間の攻撃行動について明らかにすることも目的とした。

調査は、3,000羽以上が生息するメリーランド州チェサピーク湾の東岸で行った。2003年5月~8月と2004年3月~8月にランダムに選んだコブハクチョウの行動を10分間観察し、10秒ごとに行動をマイクロカセットに記録した。行動は採餌・休息・泳ぎ・自己維持・攻撃・その他の6カテゴリーに分けた。調査時間帯を朝(6:30~11:30)、昼(12:00~16:00)、夕(17:30~19:30)、季節を早春(3月15日~4月30日)、晩春(5月1日~6月20日)、夏(6月21日~8月15日)に分け、対象がつがいか群れか、群れであればそのサイズを小(3~10羽)、中(11~50羽)、大(51から150羽)で記録した。また、採餌法を頭と首を沈水、頭のみ沈水、水面採餌、倒立の4つに分けた。

コブハクチョウは採餌に多くの時間を費やし(38.4%)、次いで泳ぎ(21.8%)、自己維持(18.6%)、休息(18.4%)、攻撃(1.7%)、その他(1.2%)の順であった。朝と昼において採餌時間が他の活動より長かったが、季節間では違いが見られなかった。また、つがいよりも群れの方が採餌に費やす時間は多く、とくに大きい群れで多かった。一番用いられていた採餌法は、頭と首を沈水させるもので、水面採餌や倒立することは少なかった。コブハクチョウの採餌は、特につがいにおいて、ときどき攻撃行動によって中断され、その99.5%が同種への攻撃だった。

コブハクチョウは季節や時間帯にかかわらず開水面での採餌行動が長かったことから、沈水植物への採食圧がとても強いことが懸念される。また、群れにいる個体の採餌時間が長いため、つがいのいる場所よりも群れのいる場所の沈水植物がより減少するであろう。よって、繁殖個体のコントロールに加えて、群れ個体、特に大きな群れについてもコントロールすることを真剣に検討するべきである。

【土屋コメント:同様の研究を行っていたため、非常に参考になる研究だった。農地や都市にいる個体群との比較も行っていたが、やはり人工的な餌があるほうが採餌に費やす時間は短いようだった。】

【藤岡コメント:この論文では観察は事実上採食地で行われており、営巣活動が記録されていない。結果の解釈に注意が必要だ。コブハクチョウが外来種である北米では餌付けされているところは稀だが、在来種であるイギリスでは餌をもらったりゴミを漁ったりしていて、採餌時間も短いらしい。外来種でありながら餌をもらっている霞ヶ浦のコブハクチョウは、比較対象としておもしろいかもしれない。なお、野生動物関係の記述では、英語でcontrolというとふつう何らかの捕殺を指す(オイリングによる卵の孵化阻止なども含まれる)。】

元の文献

Tatu, KS;Anderson, JT;Hindman, LJ;Seidel, G (2007) Diurnal foraging activities of mute swans in Chesapeake Bay, Maryland. Waterbirds 30:121-128 [#21080]

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◆外来種コブハクチョウによって内湾の沈水植物が減少する[土屋結](2008.01.14)

コブハクチョウはアメリカに1800年代後半に持ち込まれた外来種で、北米大西洋岸フライウェイでは14,000羽まで増加してきた。野生化した侵略的外来種と見なされており、在来の水鳥への影響が懸念されているが、もっと深刻な問題は沈水植物への影響かもしれない。本研究の目的は、コブハクチョウのテリトリーを持ったつがいおよび非繁殖個体の群れが沈水植物の密度・被度・植生高に与える影響と、それが水深によって違うかどうかを評価することであった。

調査地は、メリーランド州チェサピーク湾の東海岸に18ヶ所設置した。この地域は北米大西洋岸フライウェイにおける主要な水鳥の越冬地であったが、1990年代以降は数千羽のコブハクチョウが定着し、特に沈水植物が成長する5月から9月には優占種となっている。2003年5月に5×5mの調査プロット3個を18箇所の調査地に3セットずつ設定した。各セットは、2003年と2004年の5月~8月まで白鳥を排除した2年閉鎖区、2004年だけ白鳥を排除した1年閉鎖区、非操作区で構成されている。閉鎖区にはコブハクチョウは入れないが、沈水植物を消費もしくは破壊する可能性のある他の生物は入れるようにした。また、どのプロットも1×1mのサブプロットで区切り、中央部3×3m内のサブプロットで沈水植物の被度・密度・植生高を計測した。

閉鎖実験の結果、コントロール区は、被度・密度・植生高が2年閉鎖区と比べてそれぞれ79%、76%、40%減少していた。また、1年閉鎖区と比較するとそれぞれ69%、57%、32%減少していた。2004年5月から8月にかけて、被度・密度・植生高のいずれも2年閉鎖区と1年閉鎖区では増加していたのに対し、コントロール区では全て減少していた。群れのコブハクチョウは浅いところに多くおり、その沈水植物の被度は75%から100%と高い割合で減少した。これは、群れのコブハクチョウがいた水深の深いところや中程度のところでも変わらなかった。一方、もっぱらつがいに利用されていた水深が中程度の場所は、深い場所に比べて沈水植物被度の減少程度は少なかった。

本研究によって、コブハクチョウだけのせいで沈水植物の被度・密度・植生高が減少することが明らかとなった。また、沈水植物の減少は特に群れのコブハクチョウによるところが大きいことも示された。チェサピーク湾では沈水植物の回復事業も行われており、コブハクチョウの個体数は減らすべきであろう。

【土屋コメント:霞ヶ浦でも植生帯の回復事業が行われているが、この研究結果を考えるとせっかく回復したものが食べられていくことが考えられる。現に、そういった場所で採餌しているのも見られるので対策が必要になるのではないか。】 <

元の文献

Tatu, KS;Anderson, JT;Hindman, LJ;Seidel, G (2007) Mute swan's impact on submerged aquatic vegetation in Chesapeake Bay. J. Wildl. Manage. 71:1431-1439 [#21160]

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◆ハクチョウ類と一緒に食事をする水鳥たち[土屋結](2007.11.13)

採餌しているハクチョウ類と水鳥の共生関係はよくとりあげられることであるが、他の話題の中でただ簡単に述べられてしまうことがほとんどである。本研究では、スウェーデン最南端での行動観察からハクチョウ類に随伴する水鳥の片利共生について報告する。

スウェーデン南端の都市マルメ周辺にある2つの湖(Krankesjon、Ringsjon)とバルト海に面した湾(Hollviken)で調査した。主な調査地はKrankesjon湖で、1985年と1986年の秋に調査を行い、ハクチョウ類の個体数、ハクチョウ類に随伴していた水鳥、随伴個体間での攻撃行動を記録した。

他の水鳥を伴っていた個体の割合は、コブハクチョウ(Cygnus olor)では2.6%、オオハクチョウ(C. cygnus)では41%、コハクチョウ(C. columbianus bewicki)では51%であった。この違いは、コブハクチョウが沈水植物の茎や葉をかみ切って食べるのに対して、他の2種が(特にリュウノヒゲモ Potamogeton pectinatusの)根や根茎を掘り出して食べるという採餌方法の違いによるものと考えられた。ハクチョウ類への随伴が見られた水鳥は、主にヒドリガモ(Anas penelope)、マガモ(Anas platyrhynchos)、ホシハジロ(Aythya ferina)、オオバン(Fulica atra)の4種であった。平均でオオハクチョウには3.4羽、コハクチョウには2.1羽の水鳥が随伴していた。ハクチョウと一緒にいる水鳥は1羽か2羽が普通であるが、ホシハジロはまれにたくさん連れ添っていることがあった。随伴している水鳥の中での攻撃行動は、ヒドリガモとホシハジロでは種間よりも種内の方で有意によく起こった。ハクチョウのすぐ後方の位置は採餌するのによりよい環境であると考えられ、攻撃行動の多くはその位置を獲得するか守るために行われていた。ヒドリガモについて、ハクチョウのすぐ後方の位置にいる個体は、より後方にいる個体と比べてついばむ回数に差はなかったが、より大きなものをついばむことができていた。

【土屋コメント:ハクチョウ類が水鳥を連れている割合に差があるのは採餌方法の違いであるということであったが、とくにコブハクチョウは攻撃性が強いと思われるので、その違いも強く影響しているのではないだろうか。】

元の文献

Kallander, H (2005) Commensal association of waterfowl with feeding swans. Waterbirds 28:326-330 [#21125]

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◆卵数を減らしてコブハクチョウ個体数を抑えられるか[土屋結](2007.09.14)

コブハクチョウ(Cygnus olor)はこれまでに様々なところに移入されていて、農業や漁業へ悪影響があり、様々な個体数管理が行われている。原理的にはオイリングなどによって卵数を減らせば長期にわたって非繁殖個体の数を減らすことができるはずである。本研究では、卵数を人為的に様々なレベルで減らしたときの個体数に与える効果を評価することを目的とした。

イングランドのウィルトシア地方(Wiltshire)にあるWylye Valleyで、1974年から2000年にコブハクチョウにカラーリングをつけて個体識別し、その生存・繁殖・移動を調べた。得られたデータをもとに個体群動態をモデル化し、卵数を変化させてシミュレーションすることで個体数変動を予測した。また、モデルの応用性を確かめるために、Wylyeと個体群の大きさなどが違うイングランド中部のWest Midlandsのコブハクチョウについても個体群変動をシミュレーションした。

Wylyeでは、一部の巣において卵数を減らした状態での平均卵数である3.72個を用い、1991年を初期状態としてシミュレーションすると、9年後には非繁殖個体が87羽と予測された。これは2000年の実数である89羽とほぼ同数であった。卵数を操作しない場合の平均値6.62個を用いると、9年後には非繁殖個体は101羽になった。卵数を全部の巣で2個に制限した場合、10年後には非繁殖個体数が72羽になった。卵数を1個に制限すると、卵数を操作しない場合の半分以下になった。卵数を0とすると、4年後に非繁殖個体数は32羽になりその後は一定だった。また、繁殖個体数は卵数に関わらず40羽で一定だった。West Midlandsでは、卵数を制限しない場合、非繁殖個体数は20年後に494羽になり、繁殖個体数は220羽がピークだった。卵数を2個に制限すると、非繁殖個体数は120羽で一定になり、繁殖個体数には影響がなかった。卵数を0とすると、非繁殖個体数は38羽に減り、繁殖個体数は100羽に減った。

どちらの調査地のシミュレーション結果においても、卵数を減らせば非繁殖個体数は抑制されるが、全くいなくなることはないことが分かった。また、WylyeのモデルがWest Midlandsにおいても予測精度が高かったことから、シミュレーションに使用したパラメタのデータがそろう場所であれば、このモデルを適用できると考えられた。

【土屋コメント:個体数の増加・維持には、他の場所からの移入が効いているということだった。日本での今後の個体数変動を知るためにも、個体をマーキングしコブハクチョウの移動を調べる必要があると感じた。】

【藤岡コメント:基本的には実測データの平均値から固定のパラメタ値を求めるという非常に単純なモデルだ。前年の若鳥数と当年の非繁殖個体群への参入数、および前年の繁殖個体数と当年の繁殖個体数の間には明確な負の関係、つまり密度効果が示されている。しかし、モデルにはこうした密度効果が取り入れられていない。】

元の文献

Watola, GV;Stone, DA;Smith, GC;Forrester, GJ;Coleman, AE;Coleman, JT;Goulding, MJ;Robinson, KA;Milsom, TP (2003) Analyses of two mute swan populations and the effects of clutch reduction: implications for population management. J. Appl. Ecol. 40:565-579 [#21082]

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◆飼育した鳥に野外の餌量を測らせる(2006.04.29)

多くの種子食性鳥類の雛にとって節足動物は重要なタンパク源であり、その豊富さは生息環境の好適性の指標とされてきた。しかし、網振りといった従来のサンプリング方法は雛にとっての餌量を反映していないかもしれない。人に刷り込まれた雛を使う方法もあるが、野生の雛との違いなどは検証されていない。そこで、野生個体由来と飼育系統のコリンウズラで成長の違いや食道結糸の影響を検証した。

食道結糸の実験には飼育系統のウズラを使い、あらかじめ笛に反応するよう刷り込みさせた。実験当日の朝に麻酔して頸部を切開し、そのうと食道の間を糸で縛った。夕方に調査地の畑地(トウモロコシ・ダイズ)に放して笛で誘導しながら30分間採餌させた後に捕獲し、安楽死させた上でそのうの内容物を調べた。その結果、結糸個体の方が非結糸個体の1.5倍ほど多く摂食したが摂食量に統計的な差はなく、餌内容や餌サイズにも大きな違いはなかった。成長は飼育系統の方が野生由来の雛よりややよかった。

我々の結果は、飼育系統のコリンウズラが環境評価に十分利用できることを証明した。この方法を使って実際にダイズ畑に設けられた緩衝草地を採食地として評価したところ、従来の方法による結果と違って、緩衝草地と畑地部分ではウズラにとっての違いがなかった。

【対象動物にとっての餌量を評価したいことは多いが、人手によるサンプリングがどこまで有効かはいつも気にはなっていた。飼い慣らした動物を使うというのは有効な手段だとは思うが、刷り込みの手間や1回の実験で犠牲にしなければならないことを考えると、使える場面は限られているだろう。なお、ここでは割愛したが、元の論文では食道結糸の影響を飼育系統と野生由来の雛で比較する実験等も記載されている。】

元の文献

Smith, MD;Burger, LW, Jr (2005) Use of imprinted northern bobwhite chicks to assess habitat-specific arthropod availability. Wildl. Soc. Bull. 33:596-605. [#20304]

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◆托卵鳥コウウチョウの駆除が絶滅危惧鳥類の保全に有効な例(2005.09.28)

ズグロモズモドキ(black-capped vireo)は、やぶ状の落葉広葉樹林で繁殖する鳥で、個体数減少とハビタット消失、そしてコウウチョウ托卵による低い繁殖率を理由として1987年に米国の絶滅危惧種に指定されている。その回復計画の中にはコウウチョウの駆除(control)が含まれている。ここでは、テキサス州のFort Hoodにある陸軍基地(88,500ha)における駆除の効果を検証する。この基地は、訓練の他に放牧やレクレーションのために管理されている。

ワナによる駆除は1988年に始まり、その努力量は年によっていろいろだった。モズモドキの個体数はこの間増加してきた。繁殖成功率は托卵率と強い負の相関を示し、托卵率はワナで捕獲された雌の数と強い負の相関を示した。駆除強度を強めた1991年以来、托卵率は20%以下に低下し、繁殖成功率は30%以上になった。

ワナ、銃、放牧強度の変更(によりコウウチョウを減らす)が同時進行で行われたため、いずれが効果的かを評価するのは難しかったが、Fort Hoodではコウウチョウの駆除がモズモドキの増加に貢献していることは確かである。しかし、駆除の開始や継続を軽々に扱うべきではない。

【コウウチョウは、農業害鳥であると同時に希少種の個体数を減らすとして、最近の北米でもっとも悪者扱いされている鳥だろう。この論文が掲載されたOrnithological Monograph(北米鳥学会発行)の最新号はコウウチョウの特集号だが、托卵の進化生態学ではなく、希少種保全にかかわる管理に焦点を当てている。この論文は、希少種保全のための駆除がうまくいっている例についてだが、駆除だけで個体数が回復してきたわけではないし、各地で行われている駆除が一般的にうまくいっているわけでもない。そもそも、コウウチョウによる托卵は自然のプロセスだし、一般的に信じられているコウウチョウの増加や分布拡大が実は怪しい。RothsteinとPeerによる同特集号の最終章もぜひ参照のこと(Pp. 98-114)。】

元の文献

Kostecke, RM;Summers, SG;Eckrich, GH;Cimprich, DA (2005) Effects of brown-headed cowbird (Molothrus ater) removal on black-capped vireo (Vireo atricapilla)nest success and population growth at Fort Hood, Texas. Ornithol. Monogr. 57:28-37 [#20159]

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◆街のカラスは郊外からの若鳥流入で増えている(2005.03.25)

オーデュボン協会が実施しているクリスマスカウントによると、アメリカ北西部のシアトルでは、他のアメリカの大都市と同じく、アメリカカラス(American crow, Corvus brachyrhynchos)の個体数が指数関数的に増加している。都市部のカラスは主に生ゴミを餌としている。

クリスマスカウントと同じ範囲内で毎月個体数を調査するとともに、シアトル中心部から5-46km離れた8ヵ所で56羽を捕獲して電波発信機を装着し、約2,400km2内でその後15ヵ月間の居場所を探索した。個体数の季節変動は、周辺から非繁殖期にだけ移動してくる場合の予測とは一致せず、冬の個体がそのまま繁殖していると考えられた。サンプル数が少ないものの、電波発信機を付けた個体の移動からは、カラスが有意に中心部に引き寄せられているとは言えなかった。しかし、繁殖率は市内より郊外で高かった【関連研究のデータ】。長期的な個体数増加は、市内での生存率や繁殖率では説明できず、1歳と2歳の若鳥が移動先で繁殖すると仮定したモデルともっともよく一致した。

郊外に比べて都市部で繁殖密度が高いが繁殖率は低いという傾向は、シアトルだけでなく、New YorkやMadison(ウィスコン州)のアメリカカラスでも知られている。これらの地域では、郊外から流入した非繁殖鳥が定着することによって都市部での個体数が増加しているものと思われる。

【鳥は移動能力が大きいため、ある地域の個体数変動がその地域内での繁殖と死亡だけによるのか、季節的な移動も加わっているのか、あるいは(季節移動ではなく)真の移出入があるのかを判定するのは容易ではない。この研究は、長期と短期の個体数データと個体の移動データ、シミュレーションを組み合わせて、シアトルのカラスが周辺からの移入+定着によって増加していることを示している。日本でも同様なことが起こっているのかもしれない。緻密な仕事ではあるが、焦点が絞り切れていないため、読みこなすには相当骨が折れる。】

元の文献

Withey, JC;Marzluff, JM (2005) Dispersal by juvenile American crows (Corvus brachyrhynchos) influences population dynamics across a gradient of urbanization. Auk 122:205-221 [#19917]<

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