◆イエスズメではいい親はいつもいい親か?

鳥では両親とも雛に餌を運ぶものが多いが、給餌頻度には個体の質を反映した個体差がある。我々はこれまでにイエスズメの給餌頻度がその個体の過去の給餌行動から予測できること、つまり個体差が経時的に安定していることを見出した。そこで、給餌頻度の個体差はブルード(一腹の雛)間でも安定しているかどうかを、シーズン内で複数回繁殖するイエスズメで検証した。

調査はオクラホマ大学構内に掛けられた巣箱で実施した。1回目の繁殖ではそのまま給餌行動を調査し、2回目(一部は翌年)では片親の尾羽におもりを付けるハンディキャップ処理と人為給餌処理、無処理に分けた。両親とも季節が進むにつれて雛あたりの給餌頻度を減らし、雛数に応じて給餌頻度を変えた。オス親の給餌頻度はブルード間で有意な相関と再現性があった。一方、メス親の給餌頻度には相関も再現性もなく、そもそも給餌頻度の個体差がオスより小さかった。

Savannaha sparrowでも同様の結果が報告されている。これらの個体群では、親としての資質をしっかり評価してオスを選ぶことはメスにとって利益になるが、オスにとってはパートナーにこだわる利益が少ないと考えられる。

【結果はタイトルほどには分かりやすくないので、このテーマに直接的な関心のある人でないとおもしろくないかもしれない。ハンディキャップ処理と人為給餌処理も結果に十分活かされているとは思えない。ちなみに著者たちは私がアメリカでポスドクをしていたときにホストをしてくれた夫婦なので、思考パターンはよく分かる。私がシンプルな仮説検証型実験を好むのは彼らの影響が大きいが、今回は実験設計が懲りすぎかも。】

元の文献

Schwagmeyer, P.L.; Mock, D.W. (2003) How consistently are good parents good parents? Repeatability of parental care in the house sparrow, Passer domesticus. Ethology 109:303-313 [#20308]

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◆サギの不公平な餌配分は親の選択の結果か雛間闘争の結果か?(2005.01.24)

雛が非同時孵化する鳥では、先に孵化した雛の方がたくさん餌を取ってしまい、最後に孵化した雛はしばしば餓死する。非同時孵化によって雛間に差をつけるのは親だが、親は餌を与える雛を選んでいないのだろうか。この点を確かめるため、雛どうしをアクリル板で仕切って直接ケンカできないようにする野外実験をした。

ミネソタにある約1000羽のダイサギコロニー内に観察タワーを建て、5巣を対象として、1日目と3日目は自然状態(対照)で、2日目には雛をアクリル板で仕切って、すべての給餌活動を記録した。雛が自由にケンカできる状況では、順位の高い(早く生まれた)雛ほど多くの餌を得て、一番弱い雛(3番目か4番目)はしばしば他の雛から攻撃を受けて餌にありつけなかった。しかし、アクリル板で仕切ったときには、2番目の雛(β雛)がもっとも多くの餌を得た。

ケンカできないときにβ雛がたくさん餌を得たのは、メス親がβ雛に多く給餌したためである。これは、雛間でケンカする種において親が雛間に差を付けて給餌するという初めての実験的な証拠である。

【ちょっとサンプル数が少なすぎるのと、野外実験としては設計にかなり無理がある。アクリル板の設置と回収や雛を温めるための使い捨てカイロの取り替えなどのたびに巣に登るくらいなら、飼育下で実験した方がいいかも。また、メス親はなぜ一番弱い雛ではなくβ雛に多く餌をやったのか、説明できない。私の経験では、α雛よりもβ雛の方が盛んに餌乞いするので、単にメスはそれに反応しただけのような気がする。ちなみに第一著者のBonnie J. Plogerは、私がアメリカでポスドクを始めた数年前に、私のホストであるDouglas W. Mockのところで修士課程を終えた人で、何回か話をしたことがある。まだ兄弟間闘争のテーマでやっているのか、と懐かしい。】

元の文献

Ploger, B.J. & Medeiros, M.J. (2004) Unequal food distribution among great egret Ardea alba nestlings: parental choice or sibling aggression? J. of Avian Biology 35:399-404. [#19802]

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