私の再生装置


 最初にお断りしておきますが、私はオーディオは好きですがマニアではありません。万人が認めるような良い音を追求する気などまったくなく、好きなレコードをストレスなく聴きたいだけなのです。
 現在の装置に落ち着いたのは約30年前です。当時、近くにヴィンティージを扱うオーディオ・ショップがあり、沢山のウエスタン・エレクトリック社の製品を聴かせていただいたことが大きかったと思います。
 私はSP中心の古いジャズしか聴きません。再生装置は一組だけです。一組といってもモノラル構成なので各1台です。なので、誰にでもと言うわけにはいきませんが、SP再生に興味のある方の参考になればと思い、簡単にシステムを紹介します。


全景 (スピーカーはコーナーに1本 Jensen V-10 Field Coil auditorium Speaker)


 プレーヤーは2年半前に導入したRCAの43cmターンテーブル(3速、3アイドラー)、これに2本のアームを付けています。1本は1939年に発表されたウエスタン・エレクトリックの47cmもある超ロング・アーム、これは主に縦/横振動盤の40cmトランスクリプション・ディスクや V-Discを再生するためです。もう1本はグレイのワンポイント・オイルダンプ・ロング・アーム、これはSPとモノラルLP、そしてたまに聴くEP用です。

 レコードによって替えるのはカートリッジだけです。これも音の変化を楽しむためではなく、年代や盤質に合った針径を選択しています。面倒と思われるかも知れませんが、普段はLPの場合はFairchild 225A、SPはGEの局用バリレラ(3.5mil)がメインです。 ウエスタン・エレクトリックのアームには専用のカートリッジがあり、トランスクリプション用の2mil と2.25mil(特注) があります。このプレーヤーを駆動させるためにCSEのアイソレーション・レギュレーターという機器を使っています。 RCAのターンテーブルは60Hz/117Vです。私が住んでいる関東圈は50Hz/100Vのために変換が必要です。現在はこのレギュレーターを通して60Hz/117Vで使用しています。この機器の本来の機能は、クリーンでエネルギッシュな電源を供給しアイソレーション機能で電源ループによる循環電流を断ち切る電源システムということです。


RCA MI-11830-B, Western Electric 5A + 9A Reproducer & Gray #108 Viscous Damped Tonearm
このターンテーブル部がコンソールに入るとRCA BQ-2Bという型番になります。


 次に、ウエスタン・エレクトリックとグレイのモノ信号はフォノ・イコライザーに入ります。ここで各々の適正再生カーブを作り、パワー・アンプへと流れます。フォノ・イコライザーとパワー・アンプの間にはボリュームを調整するステラヴォックスのパッシブ・コントローラーが入ります。 フォノ・イコライザーはFMアコースティックでターンオーバー(低音)とロールオフ(高音)が可変式になっているためにいくつものカーブを作ることが出来ます。パワー・アンプは1940年に発表されたウエスタン・エレクトリックの124型(WE350B PP)アンプです。 巷ではWE300Bという球が人気ですが、ジャズにはWE350Bの方が合っていると思い30年間使い続けています。このアンプもUSAなのでステップアップ・トランスで117Vに上げています。


FM Acoustics FM 122 Phono Equalizer & Stellavox PR2 Passive Controller


Western Electric No.124 (350B/6L6 PP,12W)


 スピーカーは1933年に発表されたウエスタン・エレクトリックのTA-4151Aと同スペックのジェンセンV-10という13インチ(33cm)のフルレンジ・フィールド・タイプを使っています。フィールド・タイプのために電源が必要でこれも117Vに上げています。整流管にはWE274Aという球を使っています。通常は80という球を使いますが、 WE274Aにするとスケール感が増して元に戻せなくなります。このスピーカーも30年使っています。重さはスピーカー本体だけで19.4Kgもあるので、鉄バッフルに固定しています。アンプ同様、これも1台だけです。


Jensen V-10 (+WE 274A) Field Coil auditorium Speaker



最近、導入した蓄音機 Victrola VV1-90、ジェネット盤をはじめ電気再生より楽しめる盤も多数あります。


 これが現在のシステムです。アンプとスピーカーは30年前と同じですが、プレーヤーとプリ・アンプはまとまりませんでした。プレーヤーはトーレンスに始まり、テクニクスのSP-10MKU、ガラード401、301、電音RP-52と使いましたが満足せず、今のプレーヤーに落ち着いたのが2年半前の暮れでした。 プリ・アンプは長い間マッキントッシュのC-8を愛用していたのですが、トラブルが多く止めました。現在使っているコントローラーは、良いウエスタン・エレクトリック系のライン・アンプが見つかるまでという気持ちで使い始めたのですが、気がついたらこのシステムに馴染んでいました。  スピーカーは、一時ウエスタン・エレクトリックの555Wドライバーと22Aホーンを導入して2Wayも考えたのですが、ソフト優先と物々しい装置になるのが嫌で断念しました。

 最近、SPを始める方が多いようです。ところがメインはステレオLPやCDのようで、2本のスピーカーで聴いている方が圧倒的だと思います。 SPを聴くなら蓄音機のように1本のスピーカーで聴いて欲しいのですが、現代のスピーカーでは1本でも鳴る高能率の機種は少ないのかも知れません。



■プレーヤー
  □ターンテーブル RCA MI-11830-B ( 33/45/78 ) *縦/横振動切り替えスイッチ付
  □トーンアーム Western Electric 5A
  □カートリッジ Western Electric 9A ×2 ( 2mil, 2.25mil ) *トランスクリプション用

  □トーンアーム Gray #108 Viscous Damped Transcription Tonearm
  □カートリッジ GE RPX-046局用 ×2 ( 2.5mil, 3mil, 3.5mil, 4mil, 4.5mil ) *SP用
           Fairchild 225A ( 1mil ) *LP用
           Denon DL-102SD ×2 ( 3.5mil, 4mil ) *SP用(予備)

■アイソレーション・レギュレーター CSE RK-100

■フォノ・イコライザー FM Acoustics FM 122

■コントローラー Stellavox PR2 Passive Controller

■パワー・アンプ Western Electric No.124 ( 350B/6L6 PP : RCA 6J7×2, WE 350B×2, WE 274B×1 )

■スピーカー Jensen V-10 ( + WE 274A ) Field Coil auditorium Speaker

■蓄音機 Victrola VV1-90 (1927年製)

(2011.6.10)