SPレコードの再生カーブ


 RIAA(Record Industry Association of America)カーブが合意されたのが1953年、統一されたのが1956年、それ以前は、レコード会社が各々のカーブを採用していました。

 1953年以前に発売されたレコードを見ると、LP(世界で初めてLPを発表したコロンビアが1948年6月21日に制定したカーブ)、 NAB(The National Association of Broadcasterが制定したカーブでトランスクリプション等に多い)とかAES(Audio Engineering Societyが1951年に制定したカーブ)といった文字を目にします。これらのオリジナル・レコードを忠実に再生するには、現在のRIAAカーブでは不完全です。  ターンオーバー(低音)とロールオフ(高音)を自由に変えられるイコライザー・アンプがあると便利ですが、市販物は製品自体が少なく、あったとしても高額で手に入れるのは困難なようです。オーディオ・マニアの方に製作してもらうのも一つの方法かと思います。クラシックの場合は、大手レーベルがほとんどで、カーブも3種類くらいあれば足りるようですが、ジャズの場合はマイナー・レーベルの数が半端ではなく、最低でも6種類(ラッパ吹き込みのflatカーブとRIAAカーブを含む)は必要と思います。

 現在、イコライザー・アンプを扱っているメーカーやショップを紹介しておきます。
 *モーツァルト・フォノ・プロフェッショナル(サウンド・ボックス)
 *DUCATO-2(ルミエール)
 *Model 1100(Zanden)
 *Re-Equalizer(Esoteric Sound)
 *FM 222MKVor FM 122MKU(FM Acoustics)
 *JPA 66(EMT)
 *EQS MK12(KAB)

 この他、ログオーディオからミレニア LOC-2Jというイコライザーが発売されるようです。アコースティック録音には対応してなく、1925年から1955年までの間の49パターンのカーブが作れるとのことです。

 一部にはRIAAカーブで十分、そこまで凝る? 必要はない、という意見もあります。確かに、自分で聴いて楽しむ限りはどんな聴き方をしても自由だと私も思います。しかし、その盤に合ったカーブで一度聴いてしまうと、RIAAカーブで聴く音にはかなりの違和感を覚えます。後期の録音に関してはRIAAカーブでも十分に楽しめるのですが、1925年〜1935年あたりの録音に関しては辛いものがあります。 イコライザー・アンプがない場合は、低音、高音を調整出来るトーン・コントロール機能が付いているアンプで聴くことをお奨めします。

 ここでは、主にジャズ・レーベルの再生カーブを紹介します。書かれていないレーベルもたくさんありますが、目安としては、初期(1925〜)が250Hz/-5dB、中期(1935〜)が250Hz or 500Hz/-8.5dB、後期(1947〜)が400Hz or 500Hz/-12dB、1953年以降はRIAAカーブと覚えておき、あとは自分の耳で追い込んでいくのが一番と思います。


LabelDateTurnover(Hz)Roll-off(dB)
 Aladdin 500 -12
 Apollo 750 -12
 ARA 500 -12
 Asch 500 -12
 Atlantic 500 -12
 Banner 1926〜 500 -0
 Banner 1930〜 500 -8.5
 Beacon 375 -8.5
 Black & White 500 -12
 Bluebird 500 -8.5
 Blue Note 500 -8.5
 Blue Star(F) 500 -8.5
 Brunswick 1925〜 500 -0
 Brunswick 1930〜 500 -5
 Brunswick 1935〜 500 -8.5
 Brunswick(Col) 1939〜 250 -16
 Brunswick(De) 1952〜 375 -12
 Capitol 375 -12
 Clef 375 -12
 Columbia 1925〜 250 -5
 Columbia 1931〜 250 -8.5
 Columbia 1939〜 250 -16
 Commodore 1938〜 250 -8.5
 Commodore 1943〜 250 -16
 Continental 500 -12
 Coral 375 -12
 Decca 1934〜 250 -8.5
 Decca 1937〜 375 -12
 Decca(E) 250 -5
 Disc 500 -12
 Fantasy 500 -12
 Gala 375 -12
 General 250 -8.5
 Gennett 250 -0
 Good Time Jazz RIAA(500) RIAA(-13.7)
 Guild 750 -12
 His Master's Voice(E) 1925〜 250 -5/-8.5
 His Master's Voice(E) 1928〜 250 -8.5
 Hit Of The Week 500 -8.5
 Hot Record Society 500 -12
 Jazz Man 500 -8.5
 Jazz Record 500 -5
 Jump 500 -12
 Keynote 500 -12
 King 500 -8.5
 Liberty Music Shop 500 -8.5
 London 250 -5
 Lucky(J) 500 -5
 Majestic 500 -16
 Mercury 375 -12
 MGM 500 -12
 Musicraft 500 -12
 Okeh 1926〜 250 -5
 Okeh(Col) 1939〜 250 -8.5
 Okeh(CBS) 1941〜 250 -16
 Paramount 1925〜 500 -0
 Parlophone(E) 1927〜 250 -5
 Parlophone(E) 1931〜 250 -8.5
 Prestige 500 -12
 Royal Roost 500 -12
 Savoy 500 -12
 Signature 500 -8.5
 Swing(F) 500 -8.5
 Swing Time 375 -12
 Trumpet 500 -12
 Variety 500 -5
 Varsity 500 -8.5
 Victor 1925〜 250 -5
 Victor 1929〜 250 -8.5
 Victor 1932〜 500 -8.5
 Victor 1947〜 500 -12
 Vocalion 1926〜 500 -0
 Vocalion 1929〜 500 -5
 Vocalion 1935〜 500 -8.5
 Vogue(Pic) 375 -12
 Zonophone(E) 250 -5

 *この表は、Playback Equalizer Settings For 78rpm Recordings(2nd Edition) by James R. Powell, Jr. & Randall G. Stehleを参考にしています。
 (Col)=Columbia, (De)=Decca, (E)=England, (F)=France, (J)=Japan, (Pic)=Picture Record.