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小さな物乞い − インドネシア、バンドン −
やっと“Mie Ayam”(鶏肉麺)と書いた看板の食堂に入り、魚入りのMie Soup(タンメン)を食べた。食堂を出ると、もう午後四時に近かったが、バンドン駅、バザール、ブラガ通りなどを歩き回った。華人経営の店が多かった。とりわけToko Mas(金行)がやたら目についた。 物乞いも多かった。ジャカルタだけでなく、ボゴールでも、そして、ここバンドンでもやたら物乞いの姿に出くわした。とくにバンドンでは、可愛らしい子供の物乞いが目だった。 とても愛らしい物乞いが、道ばたで寝ていた。歩道の真ん中にも二、三歳の女の子が眠っていた。その枕元には、ちゃんとアルミ製の小さな器が置いてあった。その中には、通行人が入れたコインが数枚見えた。いや、そのコインは「見せ金」かもしれない。少女はぐっすり眠っていた。 日が暮れて、雨がちらついてきた。その少女のことが急に気になって、もとの場所に戻ってみた。布をかぶって、その子はまだ眠り続けていた。その表情はあどけなく、元気そうにも見えた。だからこそ、なおさら可哀そうになった。 私は、ポケットから小銭を取り出して、器の中にそっと入れた。コインが器の中に落ちる音にも気づかず、少女はすやすやと眠っていた。 「これが第三世界の都市の現状だ。きれいごとの理論など、くそくらえだ」と、フィールドノートに書いた。 (一九七九年六月)
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